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材木屋のものづくり [中村木材レポート]

「国産松はもう流通しなくなった。」 「腕の良い大工さんはもういない。」 そんな文言を東京にいるとよく聞くのですが、本当かなぁ~なんて、いつも疑いを持って聞いてしまいます。

このお正月も実家に帰省しました。親戚も交えて、地酒と義姉の力作のおせち料理にお腹一杯、心も一杯。この三重県は四日市市にある実家、原木丸太を市場から買付、製材、乾燥から始まって、住宅まで建ててしまう工務店です。(中村木材㈱http://www.nakamoku.jp/index.html) 物というのは、問屋さんや小売業者を渡り歩く間に、どんどんと値が付き、消費者の手元に届くころには膨らみに膨らんだ値段になって販売されるもの。この間に入る業者さんをいかに少なくするかというのが、減額には欠かせません。なのですが、インターネットの世界で楽天が十分地位を確立しているように、問屋さんは問屋さんで、物をきちんと見て、物とお金の交換を保障をしてくれることが多いので大切であることは確かです。それに対し、我が実家の場合は原木を買うところから始まりますので、家が建つまで間に入る業者が少なく、その分、安く建設することが可能です。10年社会を旅した目から見ても全く魅力的でして、地味にじっくりと、良い物をつくる、地元密着企業ならではの仕組みです。

ワタクシの新年は毎年、父と兄、設計屋の夫と共に、中村木材㈱がその時取り組んでいる現場と、端正な大工技術でつくられた神社やお寺などを巡ることから始まります。今年は平屋で、設計料、外構込みで坪60万円なんてビックリ価格の住宅現場を見て、またビックリ。伝統的な仕口継ぎ手を使った大工さんの手刻みで、地松(国産松)の梁も使って。ウ~ッム。設計屋として、これ以上のものをつくれるだろうか、、、イヤ。イヤ。負けてられません。頑張りますよ。

去年取り組んだ仕事の写真も見せてもらいながら。。。

↑地松の原木で、子供のころは皮むきを手伝ったものです。この皮がなかなか良い風情なんです。

↑長い梁材は湾曲したまま、長いまま使う方が建物の強度としても強くなります。原木を長いまま、湾曲したまま製材します。

↑原木を製材後、天然乾燥中。割り箸みたいに見えますが、左上の物置をスケールとしてご確認を。

↑きちんと乾燥した木を使うことが、家を強くするこつです。中には、10年、20年乾燥させた地松やケヤキもあったり。。。活躍の時を静かに待つ、この銘木を見ているだけでも元気が出てきます。材木屋ですので、もちろん材木も販売しています。神奈川や熊本あたりから、買い付けに来ていただいたこともあるとのこと。

↑お世話になっている大工さんです。朝6時半にはお見えになるとか。。。寺社仏閣も刻んでいただいているとのこと。ほとんどの接合部を伝統的な仕口、継ぎ手で組みあげてしまうそうです。接合部の図面なんてありませんから、頭の中に入っているのでしょう。やっぱり大工さんはすごいです。

↑先に記した坪60万の家ではないですが、昨年建て方をした平屋の家とのこと。長物の地松に小屋梁の松に。これでもか、というほどの木の姿組です。。。

↑梁の上に束(タテ方向の材)を乗せます。湾曲した梁にのせるわけでして、湾曲分も計算して材料を刻まなければなりません。図面無いのに大工さんは刻めるわけでして。全くもって脱帽です。。。

↑壁は3尺ピッチ (910㎜ごと) に柱を立て、貫 (横方向の下地) を通し、竹小舞で土壁を塗ります。竹小舞なんて、東京だと貴重価値が相当あるのですが、標準仕様なんですよね。これが。。。

↑さすが、材木屋ですわ。松梁の力強いこと。

↑三重ではよくみられる、「せいがい造」 の軒です。日本で一番降雨量が多いのは三重県尾鷲市ですが、この地方は雨が多く、軒を深く出して雨から建物の外壁を保護します。この軒裏の杉板も、小梁も、まさに腕の見せ所。

↑完成した空間です。古くからある民家です。この地域では、柱は桧で、梁は松、杉は天井板として使うのが通常。力強い松丸太の小屋梁は隠れてしまい、少し寂しい気もしますが、松の鴨居(建具の上の材料)は見事な物です。1本の原木から一部屋四周すべての梁を木取りしていることもあるとのこと。さすが材木屋です。。。。

ワタクシが学生の頃は大学では木造は教えてもらうことはありませんで、東京に出たころは、何ともこの民家が好きになれなかったというのが正直なところ。社会に出て、木造の実施設計に携われば携わるほど、この銘木と知恵の集積には強烈に魅せられる魅力があります。何と、繊細で力強いことか。

 

「古くからの民家風はちょっと。。。」 という三重県四日市周辺で住まいづくりをお考えの皆様、木材調達先と施工部隊には自信があります。設計は今風にワタクシが。是非、ご一緒に、住まいづくりを楽しみませんか?


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