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竣工しました! [木の香る書庫]

6月上旬、無事、役所による完了検査も終了し、木の香る書庫が竣工しました。カチッとして、スキッとした外観に仕上がり、現代の蔵といったところ。現在は、外構工事に向け、打ち合わせを行っています。植栽が入る頃には、蔵のある素敵なお庭となることでしょう。

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 ↑ 外壁は漆喰壁です。漆喰壁はこの白さが魅力。初期投資は高めですが、基本的にメンテナンスフリーなので、ペンキや吹き付けの壁が数年で黒ずんでくることを思えば、この白さが続く利は大きいと言えましょう。軒を深く出しましたので、汚れ知らずの壁となること間違いなし。写真は南から見ています。光を入れるために妻面にガラスを入れていますが、軒が深いので夏の強い日差しは入ってきません。

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↑ 玄関には大きな引き戸ガラスと、引き戸の網戸、欄間部分はガラスはめ殺しとしました。 土間には芝刈り機を収納する予定ですので、この大きな引き戸は重宝するのではないでしょうか。

屋根はガルバリウム鋼板縦はぜ葺きです。腕の良い板金屋さんで、まさに美しい屋根になりました。

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↑ 建物高さは、柱の主に流通している長さ3mを一杯一杯利用出来る高さを基準としました。高さがある分、室内は15㎡の割りに広く感じられます。

構造材、造作材、本棚と、すべて岩手県遠野の杉です。乾燥、加工も岩手県遠野の「リンデンバウム遠野http://lindenbaum-tono.jp/index.html」に依頼しました。モチロン、現場で建て方、取り付けを行う風基建設http://www5e.biglobe.ne.jp/~fu-ki/index.htm さんの大工技術があってこそ出来ること。さすがの仕上がりを見ることができました。

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 ↑ 室内はもちろん、屋外にいても杉の良い香りがします。カウンターも本棚も杉の巾接板 (はばはぎいた:巾の小さな材料同士を接着剤で止めて広い板としたもの) です。柱の梁も落とし込み板も、床板も、木目のある一等材で、材料としては決して高価なものではなく、間伐材を利用したもの。だけれど、新建材には無い、本物だけが持つ素材の力を感じることが出来ます。

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↑ 床には柿渋とドイツ産の自然塗料オスモが塗ってあります。この上がり框は大工さん泣かせだったかも? 美しく仕上げてくれました。さすがです! 

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↑ 杉と言っても色々でして、産地によって風合いが全く違います。遠野の杉はやわらかい木目。構造材も造作材も、壁も、全て杉で囲まれた空間を作るには、自己主張しない、やさしい雰囲気を持った遠野の杉は最適だと、常々思います。

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↑ 文庫本に新書に、たっぷり入ります。お施主さんは先日、ステレオを購入されたとのこと。ついつい長居したくなる、充実の趣味室となることでしょう!

15㎡弱の小さな建物ではありますが、設計の進め方に試みを行っています。それは、建物の見積もり段階までにすべての図面をそろえること。試みといいますか、昨今の、現場では変更しない、実施設計と現場監理業務を分けるべき、などなどを意図した建築士法の改正に則したもの。

現場に入ってから次々と図面を作成していたのでは、現場が混乱すること間違いなし。経験上、もう、そんなやり方はしたくないと言うのが本音です。設計者として考察したこと、試みたいことの全てを工事に入る前に一旦図にすることで、頭の整理も出来ますし、工事が始まってからは品質を上げるための監理に専念出来ます。もちろん、確実に図面をもって契約を進めるわけでして、お施主さんにとっても、施工者にとっても安心出来ましょう。

S=1:100の配置図から、平面図、立面図、矩計図、展開図、伏図、軸組図、仕口(木の接合部)図、電気配線図、S=1:2の落込板の詳細図まで、建物契約時にそろえた図面の枚数はA3版で35枚。「描きすぎでしょ~」 なぁんて工務店さんに言われましたが、現場に入ってから決める、現場に入ってから指示すれば良い、などと言う昔のやり方ではなく、遅かれ早かれ書かなければならないもの。細部に渡る全ての図面について、見積前に描き、見積、金額調整することで、契約時にはお施主さん、工務店さんが図面上で確認することが可能です。

作る人からは考える時間が多いとあって、より多くの改善策を伺うことが出来、また、刻む人と、組み上げる人が、遠く離れた違う人とした、今回の施工方法にとっても有効であったと思います。竣工後の精算も、契約金額から―4万円と極めて少なく抑えることが出来ました。

ただ、やはり、この方法は充分な設計期間が必要となります。また見積が出て、金額調整などのために変更が生じた場合、図面の修正にも大いに時間が必要となります。どのくらいの仕様にすると幾らくらいになるといったコスト感覚の精度を、設計者として高めていかなければならないでしょうし、ものを見ながら設計するのではなく、ものを見なくとも空間を想像して充分に設計できる、設計のプロとしての能力向上も求められることでしょう。

時代の流れからすると、やらなければならない仕事の流れ。工夫を重ねていきたいところ。


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コメント 2

ごじゃ丸

お世話になっています。施主のごじゃ丸です。

冷房がなく、ちょっと暑いですが、毎晩のように音楽を聴きながら、本を読みに入っています。集中できるので、読書がはかどります。

外構工事もあと一歩というところまできました。

ちょっと遠いですが、完成したら皆さん是非見物においでください。
そのときは、台湾のおいしいお茶を味わっていただこうと思っています。
by ごじゃ丸 (2009-08-22 10:39) 

tun

■ごじゃ丸様

コメントありがとうございます!!!

いつも御配慮くださいまして本当にありがとうございます。m(_ _)m

お言葉に甘えまして、植栽工事が完了しましたら、見学会を開催させていただけると幸いです。

竣工まで、あともう少しですが、どうぞよろしくお願い申し上げます!

by tun (2009-08-25 17:19) 

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