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基本理念 [アトリエ暢氣(のんき)一級建築士事務所]

長く愛せるお住まいをご提案します。

◆出来たてが一番美しいのではなく、年を重ねた風合いを楽しむ

 完成時が一番美しいのではなく、時を重ねるたびに美しい風合いを楽しむことが出来る、そんな住まいづくりを心がけています。木や土、紙、瓦などの自然素材を中心に使います。自然素材は、新しい素材に比べて高価ですし、隙間や反り、割れなど、昨今嫌われることの多い素材で、先人が日常的に行ってきた維持管理を求められます。だけれど、年を重ねれば重ねるほど、新素材には無い美しい風合いを楽しむことが出来ます。「古くて汚れてきたから建替える」 のではなく、「この柱も梁も照りが出てきて綺麗で力強いし、少し手を入れればまだまだ暮らせる」 そんな住まいは長い目で見れば経済的にもお得です。

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↑杉を多用した住まいです。玄関に入ると杉の香りに包まれます。

◆生活が住まいに負けない

 一生の買い物になる住まい。だけれど、生活は一生の内にどんどんと変わります。子供がまだ小さいから、いつも一緒にいられる大広間と大きな寝室が欲しい、中学生になったら個室が欲しい、子供が独立したから大きな趣味の部屋が欲しい。これらの生活の変化を受け入れられるよう建物を支えるために必要な壁(耐力壁)は外壁を中心に配置し、室内側の間仕切壁の内、取り払えない耐力壁は最小限にします。「あちこち不便な家だから取り壊すか。」 ではなく、「あの壁は取り払えるはず。ちょっと相談してみよう。」 生活が住まいに負けちゃいけないんです。

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↑ 工事中に急遽2世帯住宅に変更しました。検討を重ねて、急いで2階に台所と洗面所、浴室を設けました。工事よりも早く生活の変化が訪れることもあります。生活が住まいに負けないよう、生活の変化を吸収できる住まいであるべきです。

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↑良相の家では、子供部屋として計画したのは3室です。竣工時にはお子さんは幼く、個室は不要とのこと。2室(写真左)は大部屋にし、後々間仕切れるように壁に下地を入れました。1室(写真右)は2階ホールの延長として風や光が通るよう、3枚引き戸でホールと区切るようにしました。

◆風が流れるおおらか空間

 盛夏の頃、古い民家に入って涼しい想いをしたことはないですか ?木陰に入り、汗がひいていくのを感じたことはないですか? たとえば、アスファルトに打ち水をすると1㎡あたり1リットルの水で2℃表面温度が下がり、温度変化が起こったことで風を呼び込むことが出来るそうです。風の通り道を確保し、天井高を出来るだけ高く空間をおおらかにつくったり、窓外に落葉樹を植えたりすることで、ぐっと快適環境に近づきます。窓を開けず壁を並べがちな北東あたりにこそ、風の通り道があるものです。デッキテラスや広めのバルコニーで夕涼みにビールといった半屋外空間での楽しみもしかり。まずは昔からの知恵を拝借して、自然の力を利用したいものです。

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↑良相の家では引き戸を多用し、窓の配置に配慮しました。風も光もよく通ります。

◆長いお付き合いを見越した設計

 大金をつぎ込んで建設する住まいなので、長く付き合いたいもの。だけれどエアコンに寿命があるように、材料にも寿命があり、長い年月の間には傷む部分が出てきます。傷みが予想される部分は最初から取り替えやすいように設計します。また、出来るだけ綺麗に、長持ちするように使いたいもの。シンプルすぎる設計より、まずは汚れにくい設計、メンテナンスしやすい設計を基本方針とします。身体と同じように住まいも少しづつメンテナンスを重ね、一生お付き合いしたいものです。長いお付き合いを見越した設計であれば、建設当時は構造の柱梁にお金を掛けて内装は安く仕上げ、お金が貯まったらよい仕上げに変えるということも出来ます。 「ローンが終わった、さぁ建替えるか」 ではなく、「ローンが終わった、さぁ外回りや部屋内の仕上げをちょっと良いものに変えよう。」 家族の成長と共に住まいの成長を見守る。月日を重ねてゆっくりと住まいづくりを楽しむのも良いものです。

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↑良相の家では、外壁に漆喰壁を、屋根に瓦を、軒裏には杉の板を採用しました。新建材だと数十年後にその製品が存続しているかどうか怪しいですが、昔からある素材であれば定期的なメンテナンスで長く使うことが出来ます。室内側では掃除機などが当たって壊れやすい角にコーナーガードを入れました。子供さんのハードな使い方にも対応出来ます。

◆手作り品を身近に置いて、職人さんから元気をもらおう

新しい技術や新しい素材を効率よく取り入れる反面、ドアノブのように毎日触れる部分や建具のように毎日目にする部分に、手作り品をつかうのも良いものです。長年つちかった技を持つ職人さんには活き活きと輝く目を持って仕事に取り組んでいる人がたくさんいます。大工さんに左官屋さん、ガラス工さん、鋳物工さん、などなど。身近なところに手作り品を置いて、毎日、元気のおすそ分けはいかがでしょうか?

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↑木の香る書庫(写真左)では、電気配線が入るモールも大工さんと電気屋さんに制作を依頼しました。杉の机も本棚も大工さんの手作りです。

↑セカンドライフを楽しむ家では、建具に作家さんに制作していただいた装飾ガラスをはめ込みました。

◆街に住まいを自慢する

住まいは敷地内だけで完結するものではありません。ヨーロッパの街なみが個々の美しい建物の集積であるのと同じように、美しい街並みを作るのは美しい我が家から、そう位置づけしても何ら大げさなことではないのです。原色の外壁にしたところで街に自慢できる住まいになりますか? いえいえ、もっとスマートにセンス良く街に自慢できる住まいが理想です。街から我が家がどう見えるのかを突き詰めることは、逆に言えば、街からの景色はどうで、街路からの視線とどう付き合うかを考えることにつながります。「外から見られるのが嫌だからシャッターは閉めっぱなし。」 そんな街との関係性では風の通る家、日の当たる快適な家とは言えません。街と良い関係を保ちつつ、街に自慢できる住まいをつくるには、外構も重要な要素なのです。

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↑木の香る書庫では、外構や庭木の設計を行いました。芝を貼った庭からデッキまで緩やかなステップ3段であがっていけます。魔除けといわれているナンテンやセンリョウ、マンリョウも植えました。塀を高くして外との関係を絶つのではなく、アルミフェンスと程よい高さのブロック塀で、風は通るけど見えにくい、防犯にも役立つ関係をつくりました。


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