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まち中の家 [木の香る住まいづくり]

東京建築士会練馬支部 木の香る住まいづくり部会主催 「木の香る住まいづくりセミナー2008」 がスタートしました。本年度からワタクシも事務局です。皆様、よろしくお願い申し上げます。

本年度最初の活動として、6月1日、日曜日。プレセミナーが開催されました。住まいづくり部会(事務局)の田村さんが設計されたお住まいで、お施主さんのご好意から、竣工見学会を開催させて頂くこととなりました。昨年からお話をお伺いしていたこともあり、とても楽しみに当日を迎え、6人の方と、事務局3人の、計9人でお伺いしました。

今回のお住まいは、70代の女性が、お一人でお住まいになる家です。子供さんが巣立ち、2階建てだった住まいを取り壊し、20坪程度の平屋建てを新築されました。これは減築といいまして、ご高齢の方の住まい方として最近増えてきているようです。管理が行き届く大きさなのかも知れません。お一人用のお住まいとして気をつけることは何か、ご高齢の方のお住まいとして配慮しておくべきことは何か、等々、自分なりに考察テーマを掲げながら見学させていただきました。

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 ↑お施主さんは、もう何年も小学校でボランティアの先生をされているそうです。まちには、親子で教えを受けた人もいるとか。まちの宝のような、笑顔をお持ちの方です。

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↑家の工事に入る時に枝を剪定したケヤキですが、もうすっかり新芽が出ていました。まずは下に向かって葉が伸びるそうです。このケヤキ、80年ほど前は人の背丈ほどだったそうです。長年、まちを見てきたケヤキに、圧倒的な生命力を感じます。もう、まちの財産ですね。正面の街角部分には自治会の看板が建てられる予定とのこと。

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↑南の庭にもケヤキがありました。こちらは植えてから50年とのこと。東の道路から写真を撮りました。よく子供達が立ち寄ってくれるそうなのですが、この道路からの距離感、良いですねぇ。正面の大きな窓は広間の窓です。街路から庭が完全に見えないようにブロック塀を積み上げるより、誰かしらが見ている気配がある方が防犯の面から考えても有利と、一般的に言われています。

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 ↑以前はこのケヤキの葉が屋根の雨樋に落ち、それをマメに掃除されていたそうです。危ないので、雨樋は無くし、雨は庭にそのまま落ちるようにしたそうです。

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 ↑建て替えの場合は、昔の家の記憶を大事にしたいところ。ポーチの軒桁は以前の家の梁を再利用されたそうです。

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 ↑玄関に入ると、すぐ木の香りがしました。何とも心地良いこと。最近は無垢材を多用する場合でも接着剤を使っていると、新築時には独特の臭いがするのですが、全くもって清々しい空気でした。接着が必要なところはお米を擦って糊を作ったとのこと。大工さんのこだわりが香ります。玄関正面に、早速、大工さんの手作り家具がお目見えです。正面は納戸です。納戸の壁も杉板ですね。

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 ↑下駄箱も、傘立ても大工さんの手作りです。家具は材として購入すると高くつくのですが、丸太で購入しているそうで、お値打ちに出来たとこのと。下駄箱の取手も木ですね!!!

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 ↑のびやか広間で、南に北に風や光が良く通る、まさに健康的なお住まいです。窓の外の右側の倉庫はこれから壊すそうで、この倉庫を壊すと、その先の公園までが見通せるそうです。

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 ↑しっかり握って窓を開けられる、このサッシのハンドルは重宝されているそうです。窓の外、正面は緑のお庭、少し目を反らせると道を行く子供達。お孫さんも良く立ち寄ってくれるとか。まさに、まち中のお住まいです。

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 ↑床は唐松です。程良いお値段と、程良い硬さが特徴です。節があっても気にならないものですね。木は竣工した時の色合いと、数年経った色合いが違うもので、今は赤と白のコントラストの強い見え方をしていますが、これから徐々に全体が落ち着いた色になってくることでしょう。

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↑左は台所の後ろのカウンターと吊り戸棚。もちろん、大工さんの手作りです。合板をとにかく使わないという心意気で、台所の流しはタカラのホーロー扉のものを採用されたとか。ホーローは簡単に言うと、金属にガラス質の釉薬を掛けたもので、耐久性も優れています。http://www.takara-standard.co.jp/about_horo/index.html

↑右は和室の押し入れです。調湿機能抜群の杉板が張られています。この押入れ、1間(1,820mm)以上の幅があるそうで、最近の巾広のお布団も余裕で入ります。毎日、お布団を上げ降ろしされるそうですので、抵抗感なく、便利に使えるということはとても大切なことです。襖の上下にスリットが開けられ、中棚はすの子で、カビ対策は万全ですね。

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↑左は和室から広間とお庭を見ます。和室の温熱環境を考えると、大きな窓に直接面するより、広縁に障子を介して面する方が何と言っても快適。広縁は日向ぼっこにも良さげ。スダレのカーテンも柔らかな印象で、私的な和室のプライバシーはこの障子が守ってくれることでしょう。きっとまちの人達が覗いてくれること間違いなし。ムムム。。。広縁、あなどるべからず。欄間はお施主さんの妹さん宅にあったものをそのままはめ込んだとか。絵が浮かび上がるようでなかなか美しいですね。光が入る方向の欄間に入れると良い効果があるようです。

↑右は仏壇側を見ました。天井は無節の、綺麗な杉板です。天井は余り意識したことは無かったのですが、床板より静かな優しい木目のものを選ぶと空間のバランスが良くなるように思いました。竿縁は以前のお住まいの梁を割って再利用されたとか。思い入れ残る床柱も新居に引っ越しです。

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↑バリアフリーの水廻りです。浴室はユニットバスで、洗面所の床との段差が無く、扉は三枚の引き戸でした。右の写真のように視線の行く先に窓があるというのは開放感があって良いですね。杉の板壁に、光も風も良く通る、快適そうな水廻りです。

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↑左は和室の西日を遮る障子です。以前のお住まいにあったものを再利用されたとか。障子桟の細工が細かく、昔の職人さんの技が見えます。光を通すと美しいこと!!! 

↑右は広間から台所側を見ました。竣工の日から嫌な臭いが全くしない、まさに深呼吸の心地良いお住まいでした。まちの皆が気にかけてくれるような、まち中の住まいという視点から考えても、とても勉強になりました。 お施主さんには、引越前のお忙しい時にも関わらず、大勢で押し掛け見学させていただき、さらには、お住まいへの思いをお話くださり、本当にありがとうございました。見学会を調整してくださいました設計者の田村さんにも、深く感謝したいと思います。本当にありがとうございました。

 


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